SA.02.2 拠点間のネットワーキング (重要度: 3)

ネットワーク暗号化に関する基本的な手法

VPN, PPPoE, IPSec, L2TP

  • VPN(Virtual Private Network): VPNは、公衆ネットワーク上でセキュアな接続を提供するための仕組みです。通常、VPNはインターネット経由で異なるネットワークを接続する際に使用されます。VPNを使用すると、データのプライバシーやセキュリティを確保し、ネットワークリソースにリモートアクセスできるようになります。
  • PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet): PPPoEは、イーサネットを使ってブロードバンド接続を確立するためのプロトコルです。PPPoEは、ISP(Internet Service Provider)が提供するブロードバンド接続で一般的に使用されています。ユーザーはPPPoEクライアントを使用して認証情報を提供し、ISPのPPPoEサーバーと接続します。
  • IPSec(Internet Protocol Security): IPSecは、通信におけるデータの暗号化や認証を提供するセキュリティプロトコルです。IPSecは、暗号化や認証が必要なネットワーク間やリモートアクセス接続で使用されます。IPSecは、IPレベルで動作するため、ネットワーク層でのセキュリティを提供することができます。
  • L2TP(Layer 2 Tunneling Protocol): L2TPは、イーサネットやフレームリレーなどのネットワークプロトコルを使用して、異なるネットワークを接続するためのトンネリングプロトコルです。L2TPは、VPN接続やリモートアクセス接続などで使用されます。L2TPは、セッションの確立や認証を提供するため、セキュリティを強化することができます。

クラウド資源をオンプレミスの延長として使えるように接続環境を構築する

VPN ゲートウェイを用いたインターネット VPN による拠点間接続

インターネット VPN を使用した拠点間接続は、異なる地理的な場所にある複数の拠点間で安全なプライベートネットワークを確立するための方法です。これには、VPN ゲートウェイと呼ばれる特別なハードウェアまたはソフトウェアが必要です。

通常、各拠点には VPN ゲートウェイが配置され、インターネットを介して通信します。VPN ゲートウェイは、暗号化、認証、およびトンネリングなどのセキュリティ機能を提供し、拠点間の通信を保護します。

以下は、インターネット VPN を用いた拠点間接続の一般的な手順です。

  1. 各拠点で VPN ゲートウェイを設定します。これには、ハードウェアベースの VPN ゲートウェイやソフトウェアベースの VPN サーバーを使用することができます。
  2. 各ゲートウェイは、ネットワークのアドレス変換(NAT)やファイアウォールの設定など、必要なネットワーク構成を行います。
  3. VPN ゲートウェイ間のセキュアなトンネルを確立します。これには、IPSec や SSL/TLS などのプロトコルが使用されることがあります。
  4. VPN ゲートウェイは、拠点ネットワーク内の通信をエンクリプトして送信し、受信側のゲートウェイでデクリプトして元のデータを取得します。

これにより、拠点間の通信が暗号化され、安全に送信されます。さらに、VPN ゲートウェイは、必要に応じてセキュリティポリシーやトラフィック管理規則を適用することもできます。

このようなインターネット VPN を使用した拠点間接続は、企業や組織の分散した拠点間でのデータ共有やリモートアクセスを容易にするための効果的な方法です。

クラウドのプライベート接続サービスを用いた閉域網による拠点間接続

クラウドのプライベート接続サービスを使用した拠点間接続は、企業や組織の異なる拠点間でセキュアなネットワーク接続を確立するための方法です。これには、クラウドプロバイダが提供するプライベート接続サービスを利用します。

以下は、クラウドのプライベート接続サービスを使用した拠点間接続の一般的な手順です。

  1. 各拠点でクラウドプロバイダが提供するプライベート接続ポイントを設定します。これには、物理的な接続ポイント(プライベート接続ポート)や仮想的な接続ポイント(仮想プライベートゲートウェイなど)を使用することができます。
  2. 各接続ポイントを使用して、クラウドプロバイダのネットワークと拠点のネットワークを安全に接続します。これには、直接専用の物理的な接続回線を使用したり、クラウドプロバイダのネットワーク上に仮想接続を確立することが含まれます。
  3. 接続ポイント間のセキュアなトンネルを確立します。これには、IPSec や MPLS などのプロトコルが使用されることがあります。なお、IPSecには、VPN(Virtual Private Network)やL2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)を使用して、データのセキュアな通信を確保することができます。PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)は、一般的に家庭や小規模事業所などのブロードバンドインターネット接続に使用されるプロトコルです。これは、クラウドのプライベート接続サービスを使用した拠点間接続には一般的には使用されません。
  4. 拠点間の通信がプライベート接続を介してリアルタイムに行われるため、高速かつセキュアな通信が可能になります。

拠点間の接続ポイントは、通常はインターネットよりも信頼性が高く、低遅延なネットワーク接続を提供します。これにより、データの頻繁な転送やリアルタイムコミュニケーション、クラウドリソースへの安定したアクセスなどを実現できます。

このようなクラウドのプライベート接続サービスを使用した拠点間接続は、企業がクラウドネットワークとオンプレミス環境をシームレスに統合するための効果的な方法です。

通信帯域, ポート制限, 名前解決などに関する問題解決

通信帯域は、ネットワーク上で情報を送受信するための利用可能な帯域幅を指します。通信帯域の問題が起こると、ネットワークのパフォーマンスや応答性が低下し、データの転送速度が遅くなる可能性があります。通信帯域の問題を解決するためには、帯域幅が不足している場合はネットワークのアップグレードを検討したり、エンドポイントやルータなどのネットワーク機器のトラフィックを最適化することが重要です。

ポート制限は、ネットワーク上で特定のポートをブロックすることで、ネットワークセキュリティを強化するために使用される制約です。ポート制限の問題が発生すると、アプリケーションやサービスが適切に動作しない可能性があります。ポート制限の問題を解決するためには、必要なポートが適切に開放されていることを確認したり、ネットワークファイアウォールの設定を調整することが必要です。

名前解決は、ネットワーク上でドメイン名をIPアドレスに変換するプロセスです。名前解決の問題が発生すると、ユーザーは特定のウェブサイトにアクセスしたり、リソースに接続したりできない場合があります。名前解決の問題を解決するためには、DNSサーバーの設定を確認し、正しいDNSレコードが構成されていることを確認することが重要です。また、必要に応じて、代替のDNSサービスを使用することもできます。

地理的に広範なシステムの効率化に関わる技術

SD-WAN

SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)は、ソフトウェアによって管理・制御されるワイドエリアネットワーク(WAN)のことを指します。従来のWANと比較して、SD-WANは柔軟性が高く、効率的でセキュアなネットワーク接続を提供します。

SD-WANの特徴や利点には以下のようなものがあります:

  1. トラフィックの最適化: SD-WANは、複数の回線(例: MPLS、ブロードバンド、LTEなど)を統合して柔軟にトラフィックをルーティングすることができます。トラフィックの転送パスはアプリケーションや需要に応じて自動的に最適化されます。
  2. セキュリティの強化: SD-WANは、仮想化されたセキュリティ機能を提供し、ブランチオフィスやリモートユーザー間の通信を保護します。ファイアウォール、暗号化、侵入検知などのセキュリティ機能を統合することができます。
  3. 管理の簡素化: ソフトウェアによる中央集中管理により、SD-WANは遠隔地やフィールドオフィスのネットワーク基盤を容易に管理できます。ルーティング、QoS(Quality of Service)、セキュリティポリシーなどの設定を集中的に行うことができます。
  4. コスト削減: SD-WANは、複数のインターネット回線を活用してコスト効率の高い接続を提供します。例えば、高価な専用線(MPLS)と低コストなブロードバンド回線を組み合わせることで、コストを削減することができます。
  5. 高可用性と冗長性: SD-WANは、異なるコネクションのフェイルオーバーと負荷分散をサポートします。一方のリンクが故障した場合でも、他のリンクが引き続き通信を維持することができます。

SD-WANは企業の拠点やクラウドリソースの接続性を向上させるため、現代のデジタルビジネスにおいてますます重要となっています。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングとは、データを端末やデバイスの近くで処理するコンピューティングの手法です。データは、中央のクラウドデータセンターよりも近い場所で、エッジデバイスやローカルサーバーなどで処理されます。

従来のクラウドコンピューティングでは、データはクライアントデバイスからクラウドへ送信され、クラウドで処理・解析が行われました。しかし、エッジコンピューティングでは、データをより速く処理したり、レイテンシの問題を解決したりすることができます。

エッジコンピューティングの利点は次の通りです:

  1. 低レイテンシ: データがエッジで処理されるため、クラウドへのデータ転送や処理の遅延が減少し、低レイテンシの処理が可能となります。リアルタイムなアプリケーションやサービスにとって特に重要です。
  2. ネットワーク帯域幅の節約: エッジでデータを処理することで、ネットワーク上でのデータ転送の量を削減することができます。特に大量のデータやビデオなどの高帯域幅を必要とするアプリケーションにおいて、ネットワークの効率向上に寄与します。
  3. セキュリティの向上: エッジコンピューティングにより、データはよりローカルな環境にあり、送信や保存の際のセキュリティリスクが低減します。特にデータの機密性やプライバシーが重視される場合に有益です。
  4. オフラインでの処理: エッジコンピューティングは、ネットワーク接続が利用できない状況でもデバイス上でのデータ処理が可能です。これにより、リモート地域や限定的なネットワークアクセスを持つ場所でもデータ処理が行えます。

エッジコンピューティングは、自動車、産業オートメーション、スマートホーム、ヘルスケア、監視システムなど、さまざまな分野で利用されています。近年、デバイスのパフォーマンスやデータセキュリティの要求が増しているため、エッジコンピューティングの重要性も高まっています。